処分›景品表示法

対価を条件に依頼したXの投稿に依頼の事実が示されず、「SNOW」提供2社に措置命令

この記事のまとめ

  • 消費者庁は2026年8月6日、「SNOW」を提供する2社に、景品表示法7条1項にもとづく措置命令を出しました。
  • 対象は、対価の提供を条件に依頼されてXに投稿された表示で、命令書の別表2には72件が掲げられています。
  • 依頼した投稿である旨が示されておらず、事業者の表示だと判別することが困難な表示に当たるとされました。
  • 命令は、表示の取りやめ、一般消費者への周知徹底、再発防止策の周知徹底、同様の表示の禁止です。
  • 周知徹底の方法は、あらかじめ消費者庁長官の承認を受けることとされています。

違反の類型:ステルスマーケティング

消費者庁は2026年8月6日、「SNOW」と称するアプリケーションの利用サービスを提供する2社に措置命令を出しました。相手方は、大韓民国に本店を置く Snow Corporation と、東京都品川区に本店を置く SNOW Japan株式会社です。根拠は景品表示法7条1項です。違反とされたのは、同法5条3号にもとづく告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)に当たる表示でした。

対価を条件に依頼したXの投稿が、2社自身の表示とされた

対象となった役務は「SNOW」と称するアプリケーションの利用サービスです。表示の場所は、公表資料が「X」と称するSNSと記した場所での、各ユーザー名の投稿でした。

命令書には2つの表が付いています。取りやめを命じる対象として掲げられた別表1には2件、一般消費者への周知徹底の対象として掲げられた別表2には72件の投稿が並びます。別表2の表示期間で最も早いものは令和7年(2025年)4月2日からです。表の「表示箇所」欄のユーザー名は、日付の記載がないものは令和7年8月19日時点のものだと注記されています。

投稿の中身は、生成された画像とともに使用感を述べる形のものです。別表1に掲げられた投稿の1つは、次のように記録されています。

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これらの投稿について、命令書は次のように事実を認定しました。

SNOW Japanは、Snow Corporationと共同して本件役務を一般消費者に提供するに当たり、第三者に対し、対価の提供を条件に、本件役務に関し、Xに、SNOW Japanが指示する方針に沿った投稿をすることを依頼したことによって、当該第三者が、別表2「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示箇所(注)」欄記載の表示箇所において、同表「表示内容」欄記載のとおり投稿していたことから、SNOW Japanは、本件役務に係る同表「表示内容」欄記載の表示内容の決定に関与しているものであり、当該投稿による表示は事業者の表示と認められる。

投稿したのは第三者ですが、対価の提供を条件に、事業者が指示する方針に沿った投稿を依頼していた点をとらえ、表示内容の決定に関与していたと認定されています。

依頼した事実が示されていない点が、5条3号の告示に当たるとされた

公表資料は、投稿を依頼したこと自体を違反としているのではありません。依頼した投稿であることが表示に示されていない点を問題としています。

前記アの表示は、第三者が投稿した表示について、SNOW Japanが当該第三者に対して依頼した投稿であることを明らかにしておらず、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっているとは認められないことから、当該表示は、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であると認められる表示に該当するものであった。

判断の単位は、投稿の一部ではなく表示内容の全体です。適用された条文は、命令書の「法令の適用」に次のとおり書かれています。

前記事実によれば、SNOW Japanは、事業者の表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められる表示をしている又は表示をしていたものであり、この表示は、景品表示法第5条第3号の規定に基づく「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」に該当するものであって、かかる行為は、同条の規定に違反するものである。

取りやめ・周知徹底・再発防止・同種表示の禁止が命じられた

発表資料は、命令の内容を次の4点にまとめています。

ア 本件役務を一般消費者に提供するに当たり、SNOW Japanが、第三者に対し、対価の提供を条件に、本件役務に関し、Xに、SNOW Japanが指示する方針に沿った投稿をすることを依頼したことによって、別表1「表示期間」欄記載の期間に、当該第三者が投稿した、同表「表示箇所(注)」欄記載の表示箇所における、同表「表示内容」欄記載のとおりの表示をしている行為を速やかに取りやめること。 イ 前記⑵アの表示は、前記⑵イのとおりであって、本件役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあるものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。 ウ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。 エ 今後、同様の表示を行わないこと。

周知徹底のしかたは、事業者が自由に決められるものとはされていません。命令書は次のように定めています。

この周知徹底の方法については、あらかじめ、消費者庁長官の承認を受けなければならない。

さらに命令書は、周知徹底と再発防止の措置について、速やかに文書で消費者庁長官に報告することも命じています。

表示内容の決定を委ねていた親会社にも命令が出された

命令は2社それぞれに出されました。Snow Corporation あてが消表対第681号、SNOW Japan株式会社あてが消表対第682号で、どちらも日付は令和8年(2026年)8月6日です。

命令書は、2社の関係について3点を認定しています。Snow Corporation が SNOW Japan の議決権を全て保有していること。Snow Corporation の代表理事が SNOW Japan の代表取締役を兼任していること。日本向けコンテンツの制作や日本国内の販促業務を委託していること。そのうえで、両社は本件役務を共同して提供しているとされました。

投稿を第三者に依頼したのは SNOW Japan です。親会社にも命令が及んだ理由は、次の認定にあります。

Snow Corporationは、SNOW Japanに対して、本件役務に係る、日本国内の表示内容の決定を委ねている。

決定を委ねていた側も、表示内容の決定に関与しているものと認定され、同じ条文の違反とされています。

公表資料から、広告・表示の担当者が確かめられること

この命令で線が引かれたのは、投稿を依頼したかどうかではなく、依頼したことが表示から分かるかどうかです。公表資料は、対価の提供を条件に、自社が指示する方針に沿った投稿を依頼していた点を、表示内容の決定への関与として扱いました。依頼の条件と指示の記録は、その関与の有無を示す資料に当たります。

もう1つは、表示を誰が決めているかという線です。日本国内の表示内容の決定を委ねていた親会社も、命令の相手とされました。海外法人や委託先に表示の決定を任せているときは、任せた範囲を示せる書面があるかどうかが、確かめる対象に当たります。

なお、同じ形の投稿がつねに同じ判断になるとは限りません。命令書は、表示内容の全体から事業者の表示であることが明瞭になっているかを見ています。個別の判断は、表示の全体と取引の実態によります。

命令書には不服申立ての教示も付いています。処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内の審査請求と、6か月以内の取消しの訴えが示されています。

経過

日付と出来事の一覧を開く(1件)
  1. 消費者庁が2社に措置命令(消表対第681号・第682号)を出し、同日、公表しました。

出典

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